世界で最も信頼できる医学雑誌の一つ、NEJMがハイチにおけるCOVID-19 の報告を行っています。ハイチでもCOVID-19 が猛威を振るっています。5月半ばに新規発症者が激増。貧困、食糧危機、脆弱な医療体制、低い教育レベル、政治的分断、ギャングが牛耳る人口過密で不衛生なスラム街、なにより手洗いをしようにも衛生的な水が手に入らない劣悪な環境・・・。公的機関の介入も極めて乏しい状況です。驚いたのが、ハイチ独特なのかわかりませんが、COVID-19 を過度に恐れるがゆえのスティグマが患者の発見の足かせになっていたとの指摘です。例えば、「COVID-19 は国際的な基金からの援助を期待する政府が国内にばらまいた」「検査キットが使いまわされて感染拡大している」「病院は患者をワクチン開発の実験につかっている」。そのために検査機関のスタッフが襲われたり投石されたりしたそうです。しかし検査機関が粘り強く、地域のリーダーを巻き込んでCOVID-19 に関する知識の普及・啓発に地域で取り組むことでこのスティグマに打ち勝ったとだそうです!このレポートは同様に貧しい開発途上国でCOVID-19 が蔓延したらとき、ハイチの経験は他国の参考になるでしょうと結んでいます。このレポートの筆者やその協力者の皆さんに敬意を表したいと思います。